新しい音楽教育を考える会について

新しい音楽教育を考える会について

Institute of Creativity in Music Education

 1991年,創造的音楽学習の提唱者であるジョン・ペインターが東京現代音楽祭での講演のために来日した折りに,小さな集まりで音楽づくりのワークショップをやっていただいた。それは,日本ではじめての音楽づくりワークショップであった。そこに集った人たちを中心に結成されたのが「新しい音楽教育を考える会」である。以来,「新しい音楽教育を考える会」では,日本における「創造的音楽学習」(現在の学習指導要領における「音楽づくり」「創作」の分野に,さまざまな形で貢献してきている。1990年代にはすでに国内外からゲストを招き,さまざまな民族音楽のワークショップ,現代音楽の作曲家や演奏家によるワークショップ,また,ロンドン・シンフォニエッタのメンバーをイギリスから招聘してのワークショップ・コンサートなど,主に音楽づくりを中心とした企画を行なってきた。また教員や研究者を中心とした10数人のグループでイギリスを訪問し,サウス・バンク・センター,ギルドホール・スクール,ロイヤル・バレー,ロンドン・シンフォニエッタなどでワークショップを受けるというツアーも行った。

 参加者は修士/博士課程の院生,小学校から大学までの教員,音楽教育の研究者,さまざまなジャンルの演奏家や作曲家など幅広い。2019年までは1度の研究大会の他,1ヶ月~2ヶ月に1度程度の研究会をガレージ・スタジオにて行なっていた。2020年からは研究会はonlineで行なっている。そのために一人一人の方との交流ができにくいなど不便になったこともあるが,逆に遠くからの(海外からの方も含めて)参加者も増えている。また,本会は2021年から,一般社団法人となった。

 2012年からは英文のInternational Journal of Creativity in Music Educationを,2016年からは日本語の「音楽の授業づくりジャーナル」を発行している。

 この会ではこれからも,海外との交流も交え,音楽づくりをベースとした新たな音楽のあり方を,常に提案していきたいと考えている。

坪能 由紀子

一般社団法人 新しい音楽教育を考える会代表理事
日本女子大学名誉教授
東京大学ACUT客員フェロー