第14回「音楽づくり」夏の研究会

第14回「音楽づくり」夏の研究会

ワークショップ「かけあいの音楽をつくるつなげる応用する」

-フランク作曲 ヴァイオリン・ソナタ 第四楽章をもとに-

南條由起(ヴァイオリニスト・認定ワークショップデザイナー)

永岡都(音楽学・昭和女子大学)

筆者は近年「誰にでもできる音楽づくり」の実践研究にも関与している。このワークショップでは「模倣して,かけあいの音楽をつくりつなげて応用する」ための事前活動に重点をおいた。副題の教材は, カノンが特徴的である。『図解音楽辞典』(白水社)によると,カノンは「ある声部を別の声部で厳格に模倣すること」とある。模倣は一見簡単なようだが実は奥が深い。先行者は自由に表現できるが, そのあとを追う人は「厳格に」模倣するために, 集中力, 観察力, そっくりアウトプットする力が必要である。一方,音楽の模倣を「遊び」として楽しむこともできる。今回は,模倣の「行為」をクローズアップし,トレヴァー・ウィシャートの『音あそびするものよっといで』(音楽之友社)を参考に筆者がアレンジし構築した。「模倣」と「かけあい」を軸に, シンプルな手拍子回しから,楽器(トーンチャイム・鍵盤打楽器)を用いた音楽対話に至るまで, 段階的に小さな即興活動を複数実施した。活動内では表現の多様性を認め合い,他者の表現アイデアに関心を持つことを促した。特筆すべきは、活動最後の即興による音楽づくり(※)において,後半に進むにつれ表現のアイデアが多様に増えていることである(即興ピアノ伴奏とのかけあいにも注目)。参加者からの感想に「とても楽しく参加できた,問いかけがよかった,難易度が上がっても変化を楽しめた,すぐに大学や小学校の授業で実践できる,また参加したい,フランクの作品が改めてより近く感じられた,即興や音楽づくりに苦手意識を持つ学生や教師にもこのワークショップを薦めたい」という声もあった。(南條)

南條氏のワークショップ終了後に、「かけあい」の音楽づくりとフランクの「ヴァイオリン・ソナタ」の音楽鑑賞を有機的に組み合わせた小学校でのTAS授業実践を紹介した。「かけあい」によって子どもたちの中に「聴きながら演奏する」「演奏しながら聴く」といったマルチタスクが起こっていることを示し、その体験が音楽を鑑賞する力にも活かされることを、楽譜の分析と実演を交えながら解説した。またワークショップ全体の締めくくりとして、TAS授業のTとSを務めた浅間里華氏と南條氏による「ソナタ」の一部演奏が行われた。(永岡)

※ 参考映像 https://vimeo.com/753552976/9175514b05 (限定公開)